負の連鎖と、ドフィはその鎖の1つに過ぎなかったという話

先日、麦わらストアで目当てのグッズが店頭に無かったので「この"ドフラミンゴ"のグッズって在庫ありますか?」って聞いてみたら、「すみません、こちらの"ドフィさん"大変人気のようでしてお品切れで……」と言われ、品切れよりも『ドフィさん』というワードが気になってしまいました。
ドフィさんて。どんな立場なんだ。仲良いのか敬ってんのかどっちなんだ。オモロイな。

というわけで43です。
今日もドフラミンゴの女が思ったことを書くやつです。

書き出しの軽快さとは裏腹にクソ重たい話です。





たしか、前の日記で、とうとう尾田先生の設定にまで文句つけだしたと思うんですけど、改めて、思ったことがありました。
「コラさん、ドフィがあなたに何をした?」と。


いや待て待てと。お前ちゃんとワンピース読めよと。ちゃんと読んでから日記かけよと。

多くのワンピースファンの方はそう思われたことでしょう。
なんせ、ドフラミンゴはコラソンを"殺している"んです。ローの原動力はコラさんを殺したドフィへの復讐でした。

『おれは……優しいコラさんがあの日引けなかった引き金を!!代わって引きに来ただけだ!!!』

この台詞を思い出す人も多いことでしょう。ドレスローザ編ほんと好き。



さて、今回私が言いたいのは、
"先に裏切ったのはコラさんだよね?"

この一点に尽きます。



ドンキホーテ兄弟の人生を整理すると、



父が家族ごと聖地マリージョアを降りる
天竜人から人間になったことで迫害を受ける
→生活は困窮し、母親が死ぬ
→兄ドフラミンゴが父親を殺す
→兄は父親の首を持ってマリージョアへ戻ろうとする、弟ロシナンテは独りになり、センゴクに拾われる
→マリージョアから命からがら逃げ出した兄はトレーボル達と出会う(ドンキホーテファミリーの結成)弟は海軍に入る
→海軍のスパイとして弟がファミリーに戻ってくる
→ローがファミリーに入り、ローの珀鉛病を治す為に、コラさんはローを連れて二人で旅に出る
→兄からオペオペの実の情報が入り、戻ってきたコラさんは実をローに食べさせる
→コラさんは裏切りを確信した兄に殺される





ざっとこんな感じですよね。
(ここマジで泣けるから76巻辺りのドンキホーテファミリーの過去編読んでない人は読んでね。ほんとにコラさんのこと大好きになるから。超泣けるから)

で、重要なのは、これを見るとわかると思うんですけど、先に裏切ったのはコラさんなんですよ。

『喋れなくなった』という嘘を吐いて、コラさんはドンキホーテファミリーの情報を海軍に流し続けました。その為に、ドンキホーテファミリーは海軍から常に命を狙われます。ドフラミンゴが唯一の本当の家族として迎え入れたはずの弟ロシーは、海軍所属の"ロシナンテ中佐"だったんです。




いや、こんな悲しいことある??????





ハンニャバル理論(56巻参照)でいうと海賊は悪、なので、ドフラミンゴは悪です。悪の中でもカリスマです。だから海軍に命を狙われてもしょうがない。それは分かる。
でも、兄弟の関係性だけで見てみると、何がコラさんを正義たらしめるのか、何で兄をそんなに"悪にしたがる"のか、分からないんです。

『心優しい父と母からなぜあんなバケモノが生まれたのか分からない』ってコラさんは言うけど、私からすれば、コラさんは何で両親を恨まずに生きていけるんだろうって凄く不思議なんです。

コラさんは綺麗だなと思います。ローの言った通りコラさんは凄く優しいです。
でも、ある日突然天竜人から人間にさせられ、そして人間以下のように扱われ、迫害された子供が、親とか、世界を恨むのは、ある意味そっちの方が自然に感じるんです。
それは、『生まれながらにして怯むことを知らない悪の性』なんでしょうか?


私からすればコラさんは『生まれながらにして親を親として愛せる正義の性』です。


生まれ育ちを親のせいにしないコラさんは偉いし立派です。
でも、それを当たり前として、それが絶対的な正義として進んで行く視点って、親に恵まれた人の視点だなと思ってしまいます。

親のこと恨んじゃいけないんでしょうか。
産んでくれただけでありがとうって言わないといけないんでしょうか。


ドフラミンゴが父親を殺したことは、悪でなきゃいけないと思います。人殺しなので。どんな理由があっても殺人は殺人です。

でも、コラさんが正義に目覚めたきっかけってそれなんでしょうか。

コラさんは自分の使命を『兄ドフィの暴走を止めること』と言っています。
とても立派です。立派だけど、コラさんは、自分が流した情報でドンキホーテファミリーに属する人間とか、あるいは、ドフィが死んでも、それでも良いのか? と思う。父親を殺された時に、もう兄とは決別する決心をしたのかなぁ。


私はコラさんのことも、ローのことも、カッコイイなと思うし、ローの過去編は読んでいて大感動します。毎回。
でも、ドレスローザ編で、ひたすらドフィが悪として叩きのめされることが正義として描かれると、なんだか、コラさんのようには生きられない自分を否定された気持ちになってしまうんです、勝手に。

本来は、親を恨んでいるということと、ドレスローザの人達を操っていたこととは、また違う悪として捕えなきゃいけない気もするんですが"なぜドフィが巨悪になってしまったのか?"を考えると、やっぱり幼少期の記憶は大きな要因だと思うんです。

それを、コラさんは『生まれながらにしての悪』っていう、『環境が育てた物ではない悪』と決め付けてるから、モヤモヤするのかもしれない。ドフィは逆に『人の育った環境を重視する』から、余計に。
自分がそうだから、人をはかるときに、そういう基準を設けてるんじゃないのかなぁと思うんです。


極論を言ってしまえば、
『ドレスローザの人達を苦しめたドフィの行動は、生まれ育った環境が原因で、その環境を作ったのは父だから、ドレスローザを苦しめたのはホーミング聖である』なんですよね笑 とんでもない極論ですね笑


ただ、もっと突き詰めると、


天竜人を辞めて人間になったら今までの恨みをぶつけられて迫害にあったホーミング聖も被害者』なんですよね。
そもそも、天竜人から人間になったドンキホーテ一家がもし差別に合わず、何事もなく慎ましく暮らしていたら、ドフラミンゴとロシナンテの人生も変わっていたかもしれません。


つまり『"迫害出来る天竜人の一家"としてドンキホーテ一家に暴力を与えた人々もまた、ドレスローザの事件の原因である』と言えますね。



でも、天竜人に散々命を弄ばれていた人々に突然それを許せというのもおかしな話だと思いませんか?

私がドフィが巨悪として打ちのめされることに違和感を覚えるのはそれと同じです。

"皆やってきたことなのにどうしてドフィだけ完全な悪として成敗されるの?そしてそれが認められるの?"という気持ち。

いやいや、じゃあ皆がやってきたからってやっていいのかって言ったら駄目なんです。
どこかで誰かがその負の連鎖を断ち切らなければいけないんです。
誰かが我慢しなきゃいけない。誰かが、やられても飲み込まなきゃいけないんです。

でも皆飲み込めないんです。
自分だけ我慢する事が出来ないから。自分が損をするから。恨まれてまた誰かを恨んで、この繰り返しです。
私は自分だけ我慢するなんてことは出来ないから、そんな聖人みたいにはなれないから、だからコラさんには共感出来ない。尊敬はするけど。


コラさんは、ドフィに"正義を強いた"ともいえると思います。ドフィが悪として倒されたことを当たり前だと胸を張る人達は、エースと白ひげが海軍の正義のために殺されたことも当たり前だと受け止められるんでしょうか。

海賊は悪だから。中でも、エースは悪の中の悪、海賊王の息子だから、そういう理由で。

私は無理です。サカズキのこと、かっこいいと思うけど、恨まずにはいられないです。ここでこの恨みを飲み込むことは出来ないです。

どこかで負の連鎖を断ち切らないといけなかった。
分かるけど、飲み込めない。
それがドフィの鎖だったことが、悲しい。



ここまで書いていて思ったんですけどこれって、魚人島の歴史でもそうですよね。

人間への恨みを飲み込めなかったフィッシャー・タイガーは、負の連鎖を断ち切れなかった自分を嘆いてますし、断ち切ろうとするオトヒメが正しいって分かってるから、その矛盾に泣くんですよね。
で、数年後、実際に断ち切ったのがしらほしなんですよね……母親をホーディに殺されても、それを言ったらまた負の連鎖が続くから、断ち切ろうとして、言わなかったと。

エッすごいな すごい ポセイドンってもしかしてそういうこと?


前に、負の連鎖を断ち切ることがジョイボーイの約束の内容だったんじゃないか的な話を書いたかもしれないんですけど。しらほし(ことポセイドン)、何気に凄いことしてない?既にすごいよね。


……というか、Dってそういうこと?

ローにもDが付いているのは、コラさんと出会って、ドレスローザの負の連鎖を止める運命だったから? その引鉄?
Dの人は、そういう、恨みを飲み込んだり、受け止めたりする運命の引鉄を持ってるってこと?

ジョイボーイって、そういうふうに、歴史のどこかから始まった負の連鎖を断ち切る役目を請け負う人なのかな。

エースも、結果的に自分の人生で受けた恨みを、誰かにぶつけずにあそこで終わらせたよね。(終わらせられたとも言えるけど)
サウロも、ロビンに対して自分の人生で受けた恨みを「一人じゃない」っていうメッセージを最後に伝えることでロビンは生き延びたし、ルフィの仲間になったよね。




なんか若様しか勝たん!みたいな記事のつもりだったのに思わぬところに着地してしまった


ワンピース面白いです。
終わります。

ごめんねコラさん

どうもドフラミンゴの女です。

やっと80巻を手に取って読んでいます。
しかし読み始めて1/3にも差し掛からないところで、ローとセンゴクがコラさんの話をしていて、そこでまたメンタルダメージを受けて、もうダメです。ダメすぎてまたこのブログに逃げてきてしまいました。ブログタイトル、避難所にしようかな。


どんな世界にも、ごく稀に、無償の愛を持つ人は居るもので、ワンピースでいえばコラさんはその筆頭だと思います。
あんな酷い環境で生まれてもドフィのような巨悪にならず、優しさゆえに引鉄を引けず、ローのために死んでいった人。

コラさんはセンゴクさんに拾われて育ちました。センゴクさん曰く『正直で人一倍正義感を持ち、信頼のおける部下』だったと。

ドフィとの大きな違いですよね。ドフィはヴェルゴ、トレーボル、ピーカ、ディアマンテという4人に出会って、悪も正義も全部『許される』代わりに、『王』であることが『愛』だと思って育っただろうけど、コラさんはセンゴクさんの元で違う『家族』と『愛』を知って育ったんでしょうね。
センゴクさんは『親』で、ヴェルゴ達は『対等(親ではない)』だったことも、重要なのかもしれない。
父親を殺した時点で、ドフィにもう親はいないけど、コラさんにとってセンゴクさんは親と言える存在だったんでしょう(『息子のように思ってた』とセンゴクさんが言っているので)。
この親がいたかいなかったか、も、二人の正反対さに拍車をかけている気がする。

ローが、センゴクさんに真実を語るシーンで、『コラさんに命も心も貰った』と言うんですよね。
そこで、もう、なんか、なんかね。

ドフィのことも助けてあげて欲しかった。

あんなに壮絶な死を遂げたコラさんに、これ以上何をしろって話なんですけど。

ごめんねコラさん。
私は、兄ドフィを『止める』んじゃなくて『助けて』あげて欲しかった。

コラさんは、コラさん自身が思ってるよりドフィに大切に思われてた、と、思うんですよ。海軍のスパイとしてドンキホーテに所属して、ドフィの巨悪の芽を潰すことは、『正義』ではあると思う。でも、果たしてその『正義のための裏切り』が、ドフィを『助ける』ことだったのかと考えると、とても難しくて、前回の記事で書いたように、皮肉にもドフィの巨悪に拍車をかけてしまったと思うんですよね。

じゃあどうすればよかったってんだ、っていうとどうも出来ないし、どうも出来なかったから、そのコラさんに代わってローが引鉄を引きに来たし、共闘したルフィに倒された訳なんですけど。

なんか、もう、ドフィにとって唯一本当の家族だったコラさんが、ドフィを諦めてしまってる描写が、すごい苦しいんですよね。

『まるでガキの頃の兄を見ているようです』って、ローのことをセンゴクさんに伝えていて、ローがこの世の全てを恨んでることを理解出来るなら、お前はドフィのようになるなってローに言う前に、ドフィのことだって、認めてあげて欲しかった。
認めるのはちょっとダメだな。なんだろうな。
ワンピースにおける、『ドフラミンゴはどう足掻いても悪の心を持ってるのでどうにもなりません』っていう設定が辛いんですよね。

コラさん、ドフィについて、『心優しい父と母からなぜあんなバケモノが生まれたのか分からない』とか『あいつは人間じゃない』とか『生まれながら怯むことを知らない"悪"の性』とか言ってて(77巻)、ウーン、なんでこんなに、救いようがないんだろうと切なくなってしまう。優しい優しい愛の象徴のようなコラさんが言うから、尚更。

この気持ち、なんかに似てるなって思ってて、そしたら『moon(※ラブデリック社のゲーム)』における、勇者とか大臣を見てる気持ちを思い出したんですよね。
ドフラミンゴは『生まれながらの悪』『悪のカリスマ』という設定を背負わされて、とてつもない巨悪としてワンピースに登場させられたキャラクターなんですよね。

moonの理屈で言えば、『漫画なんて読むのはやめて、扉を開けて外に出る』ことで、やっとドフィはその設定から解放されるんだなぁと。(moon知らない人、謎の話すぎてすみません笑)

逆にいえば、私がワンピースを読み続ける限り、ドフラミンゴはそういうキャラクターでいるしかない、ので、一生救われないんだなと、気付いてしまいました。
虚無。



今までこんなにワンピースのキャラクターに肩入れした事がなかったので、こういう『尾田先生が決められた設定』に、モニョることもなかったんですが、ドフィにもうすこしコラさんの
無償の愛を分け与えて欲しかったなと思うわけです。
ローを可哀想だと涙を流すなら、ドフィのためにも泣いてあげて欲しかった。今でも悪夢を見るような辛い過去を持った一人の人間で、血の繋がった兄なんだから、もっとドフィのことも愛してあげて欲しかった。

それが"あの日の引鉄"とも言うべきかもしれないけど、それはコラさんがドフィを裏切り続けたことから起きた事件なので、なんかもうちょっと、もうちょっと、こう……なんかあればなと……なんか描写が欲しいな、と思う、ドフラミンゴの女の戯言でした。

いつだって主人公推しになれないから苦しい

ワンピースにしっかりと向き合って、メモを取りながら読むようになって、79巻まで読み終えました。
ドレスローザ編が終わりました。
ここまで読んで、私の「ワンピース(ひとつなぎの大秘宝)」への予想に矛盾が生じたので、前回の記事は一度非公開にしました。そのうちブラッシュアップしてまたあげると思います。

今日はワンピースの真相を追う内容とは少しズレた内容です。ワンピースにおける正義と悪の話。というか主にドフラミンゴの話。



あの、私、漫画とかアニメで「主人公推しになったことがない」んですね。そういうオタク結構いると思います。
何故なら良い漫画ほど悪役(ライバル役)が魅力的だから!!!!!!!!
テニスの王子様しかり、黒子のバスケしかり、ハイキューしかり、ハンターハンターしかり、BLEACHしかり、REBORNしかり、鋼の錬金術師しかり、ワンピースしかり、敵、魅力的だし人気ですよね。適当に有名な(私が摘んできた)漫画挙げただけですが、そりゃ主人公が何も苦労せずにいたら物語はつまらない訳で、主人公が苦労するためには困難な壁が必要な訳です。となると、必然的に困難な壁は強く在る訳です。
そらカッコイイよねと。好きになるよねと。

でも、今言った通り彼らは"壁"な訳です。
ミスチルが『高ければ高い壁の方が登った時気持ちいいもんな』と歌ったように(『終わりなき旅』より)、強い敵ほど倒した時に主人公が強く見えるので、いつかは彼らは倒されたり、負けたりしてしまうんです。
物語の始めで倒されたり、真ん中で倒されたり、終盤で倒されたり、様々ですけどとにかくいつか彼らは敗者となります。(後に仲間になったりするけど)(でも1回は負けるじゃん)

漫画的には、主人公が勝つことが正しいんです。
じゃないと物語が進まないから。
でも、彼らを応援している身としては、そこがすっっっっっっっっっごい苦しいんですよね。
その漫画が嫌いになる訳じゃなくて、そこのシーンだけ見たくなくなっちゃう。
いい漫画ほど、彼らが主人公に立ち向かう理由をきちんと描くので、そっちの方に共感してしまうんですよね。





で、(いきなり)ワンピースの話をするんですけど(これはたとえ話だと思ってください)
ワンピースって、正義(主人公)と悪(敵)の描き方が凄い絶妙で。
例えば、初期ルフィが倒した敵(アーロン、クロコダイル、エネル等)って同情の余地が無い完全悪だったと思うんですよ。クロコダイルはインペルダウンの時協力してくれた(し、過去色々ありそうではある)けど、初めて対峙した当時はそんなこと知らないですよね。ただアラバスタを勝手に襲った悪役だし、エネルだってスカイピアを悪政で支配する悪役だし、アーロンもナミに酷いことしてたやつ(後の魚人島を読むと見方も変わるけど、やっぱりその当時はそんなこと知らないのでめちゃくちゃ悪役)だし。
なんなら海軍ですら、オハラを崩壊させたことやロビンを脅すロブ・ルッチ(CP9)の行動で、読者には「コイツら正義とか言ってるけどなんなん!?ロビン可哀想すぎん!?」と敵役であることを刷り込まれます。



ところが、それを段々とひっくり返されるのが51巻のシャボンディ諸島の辺りで、これは前回の記事にも書きましたが、「あぁ、ルフィ以外にも冒険してる海賊がいるんだ」と気付かされる。
そして、懸賞金に対して。シャッキーは、ルフィより懸賞金が高いキッドに対して、「民間人に多大な被害を与えてるからカワイくない」と言う。

場面は飛んで56巻、インペルダウン編終盤。ジンベエ親分やクロコダイル、バギー、Mr.3、ボンちゃんらと手を組んで脱出を目論むルフィに立ち向かうハンニャバルの台詞。ここには痺れた人も多いんじゃないでしょうか。名台詞ですよね。



『何を… 貴様らシャバで悪名上げただけの……… "海賊" に "謀反人" ………!!! 何が兄貴を助けるだ!! 社会のゴミが奇麗事ぬかすな!!!貴様らが海へ出て存在するだけで…!!! 庶民は愛する者を失う恐怖で夜も眠れない!!!』



ここでハッとさせられるわけです。
読者はルフィの視点で物語を追ってるから、ルフィの邪魔をするやつは敵、だったのに、ハンニャバルの言葉って、めちゃくちゃ正義の味方なんです。
海賊って、確かに悪じゃんと気付きます。

これを言われると、この後の頂上戦争がまた単純な正義と悪のぶつかり合いじゃなくなるんですよね。
そしてすかさず高みの見物を決めていたドフラミンゴの台詞ですよ。こちらも名台詞。


『海賊が悪!!? 海軍が正義!!? そんなものはいくらでも塗り替えられて来た…!!!
平和を知らねーガキ共と戦争を知らねーガキ共との価値観は違う
頂点に立つものが善悪を塗り替える!! 今この場所こそ中立だ!! 正義は勝つって!!そりゃあそうだろう!!勝者だけが正義だ!!』


もう読者の正義と悪の定義、グラグラですよ。白ひげのテリトリーかって。揺れまくりだよつって。グララララつって。
エースの死をもって戦争は終わって、果たして、サカズキの行為は正義なのか、悪なのか、彼が掲げる"徹底的な正義"を考えさせられる。このあとクザンが海軍を去るところもまたニクい演出ですよね。




それから二年の時が経ち、61巻から始まる魚人島では、ホーディという『実体のない空っぽの敵』が登場します。ホーディは魚人を差別する人間を悪だと刷り込まれ、人間との共存を願うオトヒメを殺す悪役です。
が、しかし、この辺から、果たしてホーディは悪なのか?とまた考えてしまう訳です。
人間が魚人を差別しなければ、フィッシャータイガーの悲劇が無ければ、ホーディはこんなことをしなかったのではないか?
実際、フカボシ王子は『ホーディを倒してくれ』とルフィに頼むのではなく、『魚人島をゼロにしてくれ』と頼むんです。『バケモノを生み出す環境』をゼロにしてくれと。




こうやって正義と悪についてジワジワと読者に考えさせておいて、満を持して始まるのがドレスローザ編(71巻)です。
ルフィの最大の敵はドフラミンゴですが、彼は歴代の悪役でもかなり異質だと思います。
元・天竜人の生まれでとてつもなく凄惨な過去を持ち、実の弟にも裏切られた経験から、仲間のことを『家族』と呼ぶ。そして『家族』を笑う者を決して許さない。
パンクハザードで倒されたモネとヴェルゴに対しても情が深い描写がされ、そして逆にモネとヴェルゴもドフラミンゴのために命を使うことを厭わない訳です。



最初に、ワンピース初期の敵について、"完全悪"として描かれていると述べましたが、ドフラミンゴは敵にしてはあまりにも"同情の余地がありすぎる"ように描かれるんですよね。
幼い頃にあんな体験をして、父親を殺して聖地に戻ろうとしてまた殺されかけた少年が、やっと出会えたのが最高幹部である4人なわけです。彼らは『ドフィの全てを肯定する』。その代わりに王の資質を持つドフィに『夢を見せてくれ』と言う。
そんな彼らを、ドフィが『家族』と呼んだら、可笑しいかと。
血の繋がりなんて関係ない、盃を交わせば兄弟だなんて、私たちエースとルフィとサボの関係でとっくに知ってるじゃないの。



ここまで、正義と悪という物が一筋縄ではいかない事にジワジワ刷り込まれた読者は、ただ一方的にドフラミンゴを悪役として読むことができない(……少なくとも私は)んですよね。いっそドフラミンゴが最高幹部を見殺しにするような極悪非道を見せてくれれば良かったのに、彼は『家族の失敗を許す』んですよ。シュガーが気絶させられた時すらもトレーボルを許すし。
ベビー5に対してだって、ドフラミンゴは"便利な女"と言ってません。言ったのはラオGなので。


まして、77巻SBS。モネとシュガーに対しての質問で、尾田先生は二人を『大変不幸な環境からドフラミンゴに救い出された二人は』と答えています。
ドフラミンゴ、人救っとるがな。
モネとシュガーがどんな環境にあったのかは明かされていませんが、少なくとも二人を救うためにドフラミンゴは戦ったことでしょう。
彼が『人の育った環境を重視する』のも、悪はゼロから生まれないからとしか思えません。魚人島の展開が効いてきますね。環境がホーディという悪を作った。ドフラミンゴもまた、『育った環境が彼を悪たらしめた』のではないかと。彼はそれを分かってるのではないかと。
ラソンはドフラミンゴを『生まれながらの悪』と言いましたが、私からすれば自分をこんな酷い目に遭わせた父親を怨まないコラソンの方が共感出来ないんですよね(だから苦しい)。
もちろんコラさんのことは大好きですよ! めちゃくちゃ泣いたしね。でも、その優しさは誰しもが持てる物じゃないし、ドフラミンゴからすればコラさんの事件は『唯一の家族だった弟に長い年月をかけて裏切られた』訳で、尚更、『ドフラミンゴの悪を育てた環境』に、結果的に拍車をかけたと思うんです……(悲しいね……)

だからローがトレーボルに言う『お前らはドフラミンゴの操り人形に過ぎない』とか、そんなこと分かんないじゃん!言ってないじゃん!!お前に何が分かるんじゃ!ムカーッ!となってしまって、

結果、"ルフィの壁"となったドフラミンゴの敗北に、ものすごーーーーーーーーーく苦しまされました。
過去一ルフィを応援出来なくて、でもワンピースはルフィが主人公だから、やっぱりドフラミンゴは悪でしかなくて……いやでもドフラミンゴだって可哀想じゃん……色々あったじゃん……そんな酷いこと言わなくても……とグルグルしてしまって。
もっとルフィがんばえー!キュロスがんばえー!というぷいきゅあを応援する女児のような気持ちで読みたかったのですが、どうにも上手くいかず、今日まで日が空いてしまいました。




主人公推しじゃないオタク、強く生きていこうね。




今日もまた推しの敗北に涙するオタクの日記でした。書いてちょっとスッキリした。お付き合いありがとうございました。
やっとゾウ編に入れるので、またワンピースの真相を追っていこうと思います。楽しみです(尚、カタクリも大好きです)(大フラグ)

ワンピースを挫折した全ての人へ 51巻からもう一度チャレンジして欲しい

ONE PIECEが大変なことになっている。

最新刊96巻が4/3に発売されたのだが、それがはちゃめちゃに面白いのだ。私の中でONE PIECE史上最高と言っても良いかもしれない。とにかく面白い。
そして今、集英社のアプリでONE PIECEが61巻まで無料で読める。コミックス1冊440円として、26840円分が無料になっている。なんと太っ腹。
始めは4月半ばまでだったこのキャンペーンは、5/6まで延長された。これはもう家にこもってONE PIECEを読むしかない。日本国民よ、ONE PIECEを読もう。


……とはいっても、ワンピース、難しくない?


そう思う人も多いと思う。冒頭で述べたように、最新刊は96巻。コミックスを96冊読むのは結構しんどいし、なかなかハードルが高いのではなかろうか。私の周りにも、「ワンピース読んだことあるけど途中で止めたわ〜」という友人は多い。

というわけで、本記事はONE PIECEを1回読んだことはあるけれど、途中で挫折した」人に向けて書くものである。
もちろん、ワンピースを読んだことのない人にも薦めたいし、この無料期間を機にハマって欲しいのだが、"ある程度ワンピースの知識がある"ことを前提に書くので、ご承知のうえ、読んでほしい。


前置きが長くなったが、本記事の目的は、「ONE PIECEを挫折した人に、51巻から読んで欲しい」理由を伝えるためである。

51巻のタイトルは"11人の超新星"。主人公ルフィが率いる麦わら海賊団が、シャボンティ諸島という新しい島に到着した、というのがメインの内容だ。
私がここから読むことを薦める理由が2つある。



①新キャラが一気に登場してワクワクする

タイトルの通り、今までとは比にならないペースで新しいキャラクターが登場する。彼らはルフィ達と同じように、50巻分の大冒険をして、このシャボンティ諸島に辿り着いた、個性豊かな海賊団。中でも懸賞金が億を超えた11人(ルフィ・ゾロを含め)の海賊たちは、尊敬と畏怖の念を込めて"超新星(スーパールーキー)"と呼ばれる。

私はここで、あくまでもONE PIECEは"麦わら海賊団の冒険譚"であり、この世界ではルフィたち以外にも沢山の海賊たちが同時進行で冒険をしているんだ、とハッとさせられた。当たり前のことだが、 その当たり前を気付かせてくれるのがワンピースの面白さ・凄さであると思う。
新たに登場する海賊たちの中に一人でも「なんだか気になる」人を見つけたのなら、私の目論見は大成功。彼らは皆、今後物語に大きく関わってくるので、ぜひそのまま読み進めて欲しい。


②シャボンティ諸島という島の魅力
様々な島国が登場するのもワンピースの良さのひとつ。シャボンティ諸島は、その中でもかなり特殊な島である。
遊園地があったり、島特有の"シャボン"を使った不思議な乗り物や買い物袋、とにかく読んでいてワクワクする。だが、この島は楽しいだけの島じゃない。ワンピースの世界における"闇"が、シャボンティ諸島で明らかにされる。
例えば『人買いや奴隷の文化の黙認』――"人間オークション"や、種族間の差別。それらがシャボンティ諸島には根強く残っている。
構造・文化・性質等、とにかく詳しいことは51巻を読んで欲しい……のだが、中でも印象的な台詞を紹介する。


『たとえ町でどんな事が起きようとも 「世界貴族」にゃたてつかねェと約束しろ!!!
たとえ目の前で 人が殺されたとしても 見て見ぬフリをするんだ!!! 』(ONE PIECE 第496話 ハチの台詞より)


そんなこと言う必要ある!?
なんじゃそれ!? なんで!?
世界貴族って何者なの!?

疑問が湧けども、それがシャボンティ諸島のルールなのだ。(正確に言えばシャボンティ諸島に限らずなのだが、とにかくこの島ではそう)
目の前で人が殺されたら、ルフィ達はきっと飛び出してしまうだろう。彼らは強いし、弱い者に優しい。何より主人公だしね。
今までもたくさんの敵を蹴散らしてきた、そんなルフィ達に、わざわざ強調されるこのルール。事実、後に波乱を呼ぶことは確かだ。
気になった人は、ぜひ51巻を読んで欲しい。




以上が主な理由である。どうだろう。ちょっとは気になってもらえただろうか。

ワンピースという漫画には多くの謎がある。例えば、そもそもルフィ達が目指す『ワンピース(ひとつなぎの大秘宝)』とはなんなのか。
ネットを探せばワンピースファン達の熱い考察が転がっているが、私はその人たちほどワンピースを読み込んでいないと思う。(せいぜい毎回最新刊の前に1巻前を読み返す程度)

そんな私でも、ワンピースってもしかしてこれなのかも……? と考え込むほど、今、ワンピースは物語をたたみ始めている。テレビで目にする96巻のCMでも、『全伏線、回収開始。』というキャッチコピーが使われている。間違いない。95巻分の伏線を紐解くのが96巻なのだ。

この感動を味わうために、ONE PIECEという漫画を楽しむために、先ずは51巻から。51巻を読んで続きが気になったら、61巻までは無料で読むことが出来る。もちろん、51巻から1巻に戻ってみても良い。面倒くさかったら、ワンピースドットコム(https://one-piece.com/log/story.html)という公式サイトで、各章のあらすじが解説されているのでそれを読むのもおすすめする。
61巻から先は電子書籍で買えるので、部屋から出る必要も無い。存分に引きこもることが可能である。


『部屋から出ないだけでも世界を救える』と言われる今こそ、ONE PIECEにハマって欲しい。部屋にいながらにして、大海原を旅する気分を味わえるのは今しかない。

ONE PIECEを、51巻からもう一度読んでみませんか。



※この記事はワンピース96巻を読んで盛り上がった浅いオタクが、少しでも皆さんの引きこもりライフの助けになればいいなと思って勝手に書いただけのものです※